TIAの事業・活動

かけはし概要

かけはしTIA連携プログラム探索推進事業は、TIA中核6機関(産総研、NIMS、筑波大、KEK、東大、東北大)が組織の枠を超えて連携し、新領域を開拓するための調査研究や連携活動を支援する事業です。異なる専門の技術と知見を持ち寄り、公開の研究会やセミナー、展示会などによって外部の人やノウハウ、研究資源や資金を巻き込んで、大型連携研究開発や事業へと育てていくことを目指しています。

 

 多様な連携形態

  1. 異なる分野・技術の融合
    TIA 2機関の連携から始めて、技術シーズを創出・融合・発展させます。
  2. 技術シーズの普及
    研究会、ワークショップ、コンソーシアム、展示会などの活動によって技術シーズを普及促進させます。
    → 「かけはしイベント」のページ参照
  3. 技術シーズの応用および事業化
    技術シーズを事業化に向けて応用発展させるための研究開発プロジェクトを立ち上げます(公的予算の獲得や企業との共同開発)。
  4. 技術シーズと企業ニーズのマッチング
    企業ニーズに基づく技術課題とTIAの技術シーズを組み合わせて、共同研究立上げに向けた調査研究を実施します。

かけはし概要

 

研究の芽の発掘、そして事業化へ

  かけはし事業により、研究者単独では遂行が困難な萌芽的研究のアイディアについて、分野にとらわれない幅広い連携形成を通じて研究体制を構築します。中核6機関の技術シーズを融合し、プロジェクトの展開、さらには事業化へと育てています。



  紙との親和性が高い印刷を利用した銅配線技術や紙の特徴を活かしたデバイス設計技術の可能性を広く知ってもらうため、触覚・視覚・聴覚で楽しめるインタラクティブな要素を含んだペーパーデバイスの試作を行いました。演奏できるペーパー楽器、触ると解説する美術展チケット、なぞると喋る紙メディア、図柄に合わせた触感を体験できるポスターなど、展示会等で多くの人々に体験してもらうことを通じ、紙デバイス技術の啓蒙を図っています。

kakehashi(ペーパー楽器)
演奏できるペーパー楽器



  二次元構造を有する硼化物として菱面体硫化ホウ素(r-BS)をNIMSの大型ベルト装置を用いて高圧合成し、筑波大学がスコッチテープ法による剥離で二次元物質とすることに成功し、原子間力顕微鏡でその厚みを評価しました。剥離した構造や内部構造のわずかな制御などにより、バンドギャップが大きく制御可能であることが予測されています。このような導電性を制御できる軽量かつフレキシブルなホウ化物二次元材料は、ウェアラブルな電子デバイスなどへの応用展開が期待できます。

kakehashi(結晶構造)
高圧合成された二次元物質r-BSの結晶構造



  血液透析を行っている腎不全患者では腎癌の発生率が通常の15倍に増加し、透析腎癌として知られています。透析腎癌は、造影剤を用いたCT検査などによっても検出が難しく、癌の診断に役立つバイオマーカーが求められています。TIAでは、顕微鏡下の組織サンプリング、糖鎖に関連する遺伝子の網羅的解析、産総研が開発した糖鎖解析技術を駆使し、透析腎癌に特異的な糖鎖構造の同定と新規糖鎖マーカーの開発を進めています。

kakehashi(糖鎖構造解析)
透析腎癌組織のサンプリングと糖鎖構造解析



  高エネルギー物理実験での素粒子検出器に代表される半導体量子イメージセンサは、塁子ヒット位置や時間情報等多くの情報をピクセル単位で記録する複雑な回路が必要です。同時に位置分解能を保つためにピクセルサイズは小さい必要があります。このため、ピクセル内の回路を積層出来る3次元(3D)積層技術を用いKEK中心に産総研・筑波大・東大が量子イメージセンサを共同開発しました。20μm角のピクセルでほぼ1万画素のイメージセンサにより90srからのβ線卜ラックの観察と99%以上のバンプ歩留を確認しました。

kakehashi(3Dイメージセンサ)
3Dイメージセンサでのβ線観察結果



  物質構造や機能、化学反応経路の解明に向けて、計測・計算・データ科学を融合したデータ同化解析技術が注目されています。かけはしでは、東京大学・NIMS ・筑波大学・KEKの連携によリ、第一原理計算とX線回折実験を組み合わせたデータ同化手法の枠組みや機械学習などに基づく新しい最適化技術を開発しました。さらに、高精度高品質なデータを生成するための物質科学シミュレーターの整備・公開・普及活動も進めています。

kakehashi(データ同化手法)
データ同化手法によリ得られたコーサイトの結晶構造



プロジェクト化・事業化に貢献したその他の事例