TIAの事業・活動
TIAの成果
TIAには、世界有数の施設・設備、豊富な人材と卓越した技術力及び知的財産があります。これらを活用したTIAの長年にわたる活動は、研究論文、特許、ノウハウなどの研究成果として蓄積されるのみならず、事業化され量産によって利用されるものもあれば、製品として実用化されているもの、成果を軸にベンチャー企業として独立している事例など、さまざまに発展しています。
低炭素社会を実現する超電圧デバイスプロジェクト(FY2010 ~ 2014)
100万LUT規模原子スイッチFPGAの開発(FY2016 ~ 2018)
デバイス断面
NanoBridge-FPGAチップ
NanoBride-FPGAは、従来の SRAM型の FPGAに比べ 、放射線耐性や電力効率が格段に高いデバ イスです。NIMSでの原理の発見(原子スイッチ)と基礎研究後に、TIAのナノエレクトロニス拠点である産総研スーパークリーンルーム(SCR)において、NECと産総研による300mm基板を用いた製品化を意識した原子スイッチ素子の開発や、回路開発とその機能検証、大規模LSIへの集積化や信頼性の研究が行なわれ、技術的に実用化レベルに至りました。NECでは人工衛星に搭載する宇宙用途のFPGAとして実用性と信頼性を実証することにより実績を積み重ね、低電力性能が重要な通信機器やIoT機器に展開していく予定です。
- A4リーフレットpdf:原子移動型スイッチを利用したFPGA(2017.10)
- 参考文献:白旭、坂本利司、宮村信、多田宗弘:微細CMOSと混載可能なCu原子スイッチ、応用物理 第88巻 第2号 p.115-119 (2019)
- 2019年1月18日 NG-FPGAの宇宙での実証試験を行うJAXAの革新的衛星技術実証1号機が打ち上げられました。(NECプレスリリースはこちら)
超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発(FY2013 ~ 2021)
技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)はTIA-SCRで培った光集積基盤技術を応用し、世界最小、指先サイズの光トランシーバーである光I/Oコアを開発しました。更に、この光I/Oコアを事業化するため、「アイオーコア株式会社」を2017年4月に新設分割しました。「アイオーコア株式会社」は、最先端シリコンフォトニクスにより光インターコネクトにおけるソリューションを提供する会社です。集積シリコンフォトニクス回路等の技術により、5mm×5mmのチップに-40℃から85℃の範囲で50m以上のマルチモードファイバー伝送を実現しています。
革新的製造プロセス技術開発(FY2012 ~ 2014)
ミニマルファブは、産総研が発案、基礎開発し約150社との共同開発で実用化した、多品種少量市場向けの超小型半導体生産システムです。局所クリーン化搬送システムを搭載してクリーンルームを不要としました。薬液原料を内蔵し、AC100V、圧空、窒素の供給だけで動作します。消費電力は僅か平均250W/装置です。全装置のUIが標準化統一されており、装置専属オペレータが不要です。従来の試作ラインでは2工程程度/日ですが、この洗練されたUIや真空ローディング15秒の高速性等から、20 ~30工程/日を実行できます。このように非常に開発効率が高く、CMOS、MEMSセンサなどが既にミニマルファブで開発されており、ミニマルファブ装置群は商用販売されています。
MEMSファンドリー
マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)
1.5mmx1.5mm MEMSセンサチップ
タッチエンス株式会社の超薄型3軸力検出センサは、MEMSファンドリーとマイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)を利用して開発されたMEMSセンサです。センサは1.5mmx1.5mmのMEMSチップを搭載した11mm角×厚さ2mmのサイズのセンサで、xyzの三軸の力とせん断力を1つのセンサで同時に計測できます。
CNT量産実証プラント事業
低炭素社会を実現するナノ炭素材料実用化プロジェクト(FY2014 ~ 2016)
産業技術総合研究所(産総研)と日本ゼオンは、2004年に産総研・畠賢治博士らにより見出された革新的なカーボンナノチューブ合成法であるスーパーグロース法(SG法)の量産基盤技術開発を共同で進めてきました。さらに、2009年度経済産業省(METI)補正予算事業により量産実証プラントを建設/稼働させ、その成果/技術を活用し、世界で初めてSG法で得られる高品位なCNT(SGCNT)の量産工場を日本ゼオン徳山工場にて完成/稼働させました。現在日本ゼオンでは、SGCNT供給並びに、SGCNTの特長を生かした応用製品の実用化を進めており、高性能な熱界面材料等多くの応用製品の実用化が進んでいます。
2018年10月には、日本ゼオン・サンアロー・産総研CNT複合材料研究拠点にて開発されたOリングが、サンアロー株式会社により販売を開始されました。本製品は従来のフッ素ゴム系Oリングに比べ、高温・高圧環境下での使用が可能(連続使用温度:~230 ℃程度)であるのみならず、交換頻度の低減に伴う管理コストの削減や、金属シール代替としての活用が期待されます。(製品の紹介ページはこちら)
![]() カーボンナノチューブを用いた熱界面材料 (TIM) |
![]() CNT複合材Oリング |
つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション(TPEC)(2012年4月発足)
産総研は、パワーエレクトロニクス・オープンイノベーションの推進に向けた新たな民活型の共同研究体「TPEC」を2012年4月から推進しています。TPEC設立時からの主要参加メンバーである富士電機株式会社では、SiCパワーデバイスの実用化に必要な要素技術をTPECで開発し、さらに産総研西事業所の量産試作ラインを用いて製造実証を行いました。その成果を元に、パワー半導体の生産拠点である松本工場(長野県松本市)に、SiCパワーデバイス生産設備として6インチウエハプロセスラインを新設して、世界最高レベルの特性を有するSiCパワーデバイスを生産しています。
![]() 富士電機SiCデバイス工場稼働(2013) |
![]() 6インチウエハとトレンチゲートSiC-MOSFET素子 |
藻類バイオ3000株の機能性試験とセルフメディケーション時代の新市場開拓(2016年度かけはし)
藻類バイオ3000株と非可食バイオマスの機能性試験の迅速化と新市場開拓(2017年度かけはし)
カロテノイドの大量生産方法
(特願2016-566380)
七色の次世代クロレラ(特願2016-566380
「カロテノイドの大量生産方法」)
藻類バイオの研究開発をおこなう大学発ベンチャー企業の「株式会社アルガルバイオ」(千葉県柏市)が2018年3月に設立されました。社名アルガル(Algal)は「藻類の」という意味で、藻類や微細藻類の用途拡大と普及に貢献します。アルガルバイオ社は、東京大学・新領域・植物生存システム分野の戦略的創造研究推進事業(JST-CREST)と大学発新産業創出プログラム(JST-START)での研究成果をもとに、微細藻類の産生する機能性成分(カロテノイド、長鎖不飽和脂肪酸)の実用化を目指します。TIAかけはし研究では、微細藻類の機能性試験を参画機関の研究者が連携して取り組み、その研究成果をもとにして事業計画の中に「機能性バイオの新市場開拓」という目標を組み込むことができました。「セルフメディケーション時代」の到来した現代社会で必要とされる健康に寄与する製品を提供します。
- 2021年4月7日
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